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愛犬への正しい食事の与え方

獣医師 岩切裕布先生
獣医師に聞く!愛犬への正しい食事の与え方

現代は、ペットフードもバリエーションが増え、あげ方についての情報もさまざま。その中で正しいものを見極め選択することは、決して容易なことではありません。そこで、アブレスの商品開発にも携わっている獣医師であり、ペット栄養管理士としても活躍する岩切裕布先生に質問を投げかけ、愛犬の正しい食事とそのあげ方についてお話を伺いました。

  • Q-1

    犬にとっては「生肉」の方がいいの?
    「生肉」は絶対だめ!
    加熱調理したものを与えましょう!

    獣医師として声を大にして言いたいのが、「お肉をあげる際は、種類を問わず必ず加熱してください!」ということ。これは、日本獣医師会のサイトでも記載があることなんです。生のお肉には、どうしても菌やウィルス、寄生虫が付着している可能性があります。それをそのままあげることは、とても危険なことです。そのリスクは愛犬に対してだけではありません。生肉を食べた愛犬が飼い主を舐めたら、飼い主もその菌やウィルスに感染してしまう可能性はゼロではありません
    「生肉は酵素があるからいい」という説をよく聞きますが、そこには医学的な根拠はありません。酵素は口に入れた時点で唾液や胃液で消化されるので、そのまま身体に吸収されるということはないんです。
    また、「犬はもともとオオカミだったから生肉の方がいい」という情報も時折目にします。しかし、野生のオオカミと人の家族の一員として生きている現代の犬を同じものさしで測ってはいけません。彼らに適した食事というものは、野生で生きていた頃とは変わっています。愛犬の健康を考えるなら、いわば〝生肉神話〟のようなものに囚われているのはもったいないですよ!
    加熱は、全体的に色が変わるまでしっかり火を通しましょう。方法は、焼いても茹でても大丈夫です。アブレスで販売しているエゾシカの生肉「えぞ雪もみじ」は、真空包装になっているので、そのままボイルできてとっても便利です。

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  • Q-2

    お肉はよろこんで食べてくれます。
    主食にしてもいいの?
    お肉だけでは栄養不足!
    総合栄養食を組み合わせましょう!

    メーカーによっては、馬肉や鹿肉を主食にするということを推奨しているところもあるようですが、栄養学の視点から見るとお肉だけでは栄養素は足りません。だから、主食にするのはおすすめできません。
    一般社団法人ペットフード協会は、ペットフードを ①総合栄養食 ②間食 ③療法食 ④その他目的食の4つに分類しているのですが、総合栄養食以外は全て、栄養価としては少し劣ります。それもそのはず、総合栄養食は人で言うところの宇宙食みたいなもの。犬だと37項目の栄養項目を満たしていないといけないなど、とても厳しい基準をクリアした優秀なペットフードなんです。
    でも、総合栄養食はドライがほとんど。犬は、食べ物の匂いで「おいしい」と感じているので、匂いが立たない食事は味気ないものです。鼻がいい分、輸送や保管の長い時間の中でついてしまった臭いに気づいて、食欲がなくなってしまうというケースもあります。そんな時に、犬が「おいしい」と感じる匂いがするお肉は、食欲をアップさせるのに一役買ってくれます。だから、鹿肉を取り入れる際は総合栄養食にトッピングする形がおすすめです。
    適量は、1日の摂取カロリーの20%以内の量。その分量を総合栄養食から引いて、トッピングすれば栄養バランスを大きく崩してしまうことはありません。ただし、トッピングと言っても、上に乗せるのではなく総合栄養食とよく混ぜてあげましょう!その方が、全体にお肉の匂いが行き渡るので、愛犬もおいしく食事をすることができますよ。アブレスのECサイトでは、私が開発した「えぞ雪もみじ」を使った総合栄養食のレシピを販売していますので、そちらもご参照ください。

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  • Q-3

    体調管理のためには、
    おやつをあげないほうがいいの?
    おやつは悪いものではありません。
    重要なのはあげ方です。

    「おやつ」をあげると太る。こう思っている飼い主さんもたくさんいらっしゃるかもしれません。でも、本来、「おやつ」自体は、悪いものではありません。上手に使えば、愛犬と飼い主の大事なコミュニケーションツールなんです。
    太ってしまう原因は、単純にあげすぎてしまっていることがほとんど。かわいいからついついあげてしまうし、家族で飼っている場合はみんながあげたくなってしまいますよね。その結果、たくさんあげてしまって、次第に太ってしまうというわけです。
    大切なのは、おやつの適量を知るということ。そして、食事との調整をきちんとするということです。おやつの適量は、トッピングのお肉と同様に1日に必要なカロリーの20%以内の量。おやつとしてあげる分を総合栄養食から引いて調整してください。トッピングもおやつもあげる場合は、その両方を足して総合栄養食の20%以内にとどめましょう。また、おやつの方が喜ぶからといっておやつを主食にするのは、必要な栄養を摂ることができなくなってしまうのでよくありません。あくまで、栄養価の高い食事があってこそのおやつです。
    そして、せっかくおやつをあげるなら身体にいいものを選んであげたい。そんな想いから生まれたのが、今回開発に参加させていただいた「Dr.made」や「ables」というシリーズ。医学論文などのエビデンスを元に、乳酸菌や難消化デキストリンなどの有効成分を身体に良い効果が得られるだけの分量をしっかり配合するなど、機能性にとことんこだわって作っています。

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  • Q-4

    ペットフードはバリエーションも豊富だし、
    手作り食も話題。なにを選んだらいいの?
    愛犬の健康に必要な食事を知ると、
    選び方がわかります。

    食生活の中で最も大切なのは、愛犬が必要な栄養素をきちんと摂取することだと思っています。先ほども少し触れたように、お肉だけ、おやつだけでは、必要な栄養素は摂取できません。食事で基本的に必要な栄養素を摂取できた上で、有効成分の入った機能的なおやつなどは効果を発揮します。
    市販の総合栄養食を完食してくれるなら心配はいりませんが、完食できない場合は、加熱した鹿肉*1を混ぜて食欲をアップさせてあげるといいかもしれません。それでもなかなか食べないという場合は、手作り食に挑戦してみるといいと思います。
    手作り食に関しては、私も獣医師兼ペット栄養管理士としてレシピを考案しているのですが、実際にレシピをお見せすると、野菜の量にびっくりされることがあります。文部科学省が出している「食品成分データベース」を使って愛犬や愛猫のレシピ開発をしていますが、食材で栄養素を満たそうとすると、どうしてもそのくらいたくさんの種類や量を入れないといけなくなるんです。 その点で、やっぱり総合栄養食はよくできています。だから、総合栄養食よりも手作り食の方がいいとは言い切ることはできません。心を込めた手作り食でも、栄養素が足りてなければペットの健康を損なってしまうかもしれないのです。手作り食をあげる場合は、栄養素がきちんと計算されたレシピ*2を使うことをおすすめします。アブレスのECサイトでは、私が開発した「えぞ雪もみじ」を使った総合栄養食のレシピを販売していますので、そちらもご参照ください。
    愛犬のためにちゃんと考えられた正しい食事は、病気を未然に防ぐことに繋がると私は考えています。予防医学の考え方はとても重要なのです。まずは、今食べているペットフードやあげ方も含めて、今までの愛犬の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

    *1 鹿肉は、食物アレルギーのリスクが少ないという理由でおすすめしています。
    *2 岩切先生の犬と猫の手作り食・栄養学相談サイト「DC one dish」では、手作り食のレシピを個別にオーダーメイドで依頼することができます。

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岩切裕布
DC one dish獣医師・ペット栄養管理士
岩切裕布先生

所属学会
  • 日本ペット栄養学会 /ペット栄養管理士 取得
  • 日本小動物歯科研究会 /認定レベル1 取得
麻布大学獣医学部卒業後、都内、神奈川県内の動物病院で勤務。動物病院で食事や手作り食に関する相談を多く受け、栄養素含有量や栄養バランスについてもきちんとお答えできるようになりたいという思いから、栄養学を学ぶ。
現在は、犬と猫の手作り食・栄養学相談サイト「DC one dish」を開設。手作り食のレシピ提案の他、日々の食事全般について相談を受けるなど、愛犬や愛猫の健康を維持するお手伝いをしている。

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